ちょっと気になるレンズがあり、作例をネット検索しようと思って気付いた事があります。
中古なども扱う関西系のカメラ専門店で、全国にかなりのチェーン店舗数を構えているお店の公式ブログに、結構とんでもない記載がありました。
レンズの商品名を書くと、そのブログがトップヒットしてしまうので割愛しますが、そのレンズは絞り開放だと、通常は使い道が難しいほど明るいレンズです。
マウントアダプターで、SONYのミラーレスカメラに装填して撮られた<作例>は、被写界深度ペラッペラで、メインの被写体すらボケてしまってピン位置すら判断出来ない画像です。
本当にカメラ専門店のブログを任されるスタッフなのか?と思うレベル。
添えられた記載はこうです。
「周辺減光も効いててオールドレンズらしい暗さ」
はっきり言って、開放F値が小さく明るい非CPUレンズを装着して暗く撮れるのは、オート機能無しで写真を撮るスキルがない下手な人というだけ。画像エンジン内に失敗しない補正アルゴリズム非装備のカメラなら、画面が完全に破綻してる筈です。
これだけ明るいレンズを晴天の屋外で絞り開放で撮っているのに仕上がりが暗くなるのはカメラが対応出来ないほど明るくて判断出来ないからです。
そもそも晴れた日の屋外撮影で、開放値がf/1.4以下のレンズを絞り開放で撮ることなど、頭の片隅にも考えない時代に設計されたレンズです。
本来ならば強力なNDフィルターが必要なほど、めちゃくちゃなF値で撮っているから周辺減光が目立ってしまうくらい露出を下方補正しないとならないような設定になる。恐らく1/8000秒などという、とんでもないシャッター速度でカメラの方が頑張って、写真として成立させてくれたのです。
たまに、絞り優先で設定を変えてないのに、何度撮り直しても明るくなったり暗くなったりする事がありませんか?あれはカメラ側が適切な露出が判断出来ない程、無理な設定をしているためカメラが悩んでいるという事で、微妙な測光位置の差で画面の明るさがガラッと変わってしまっているのです。
同じようなことは、ミラーレスを使ってオールドレンズのブログを書いているアマチュア写真愛好家の記事や作例にも多く見られることです。
普段からカメラ任せで写真を撮っているので、それが如何に無謀なセッティングである事に気づいていないのです。
同じカメラとオールドNIKKORを使って、くっきりとした写真を撮られている愛好家さんもいますので、カメラのせいではありません。要するに写真を撮る基本的な技術が足りない人がブログやYouTubeで独りよがりなレビューを展開しているという事。
これはYouTubeの楽器機材レビュー等でも同じです。演奏が大して上手くない人程、他の事で名を上げようと機材の試奏やレビューと称してテレビ番組司会者のマネをしながらグダグダと無駄なことを喋ってる印象です。逆に演奏の上手い人は、殆どの語らずセッティングだけ別窓で見せながら、ひたすらその機材が適材適所と思われるような演奏を続けます。
「全体的にシャープネス低めな写り」
「フィルム写真の様な雰囲気」
他に載せられた<作例>にも、こんな文々が添えられていました。
画像を見る限り、EVFでのみピントを合わせただけで、全く追い込めてないからにしか見えません。要するにマニュアルフォーカスのピンが甘いんです。三脚を立てて、背面液晶で拡大してフォーカスすれば、もっとくっきりした写真になっている筈です。おそらく普段からカメラ任せのオートフォーカスでしか写真を撮っていないのではないかと?
普段から追い込む癖があるならEVFであってもこんなに下手くそではない筈…そんな<作例>ばかり。
カメラ店のブログを任されるスタッフなので構図などはセンスもよく熟れている感じはします。CPUで制御してもらえるレンズを使えば、ブログに載せても遜色ないセンスの良さげな写真が撮れるのでしょうが、マニュアルフォーカスレンズの扱いが全くなっていないのです。
その証拠にパンフォーカスの<作例>も記載も全くないのです。
はっきり言います。オールドレンズの方が鉛ガラスを使えた分、遥かに光学的に高性能だったのです。
代用のエコガラスになって、コーティングやレンズを薄くする事で屈折率を高めたり、メーカーは頑張っています。メーカー側は事実上、遜色ないレベルまで性能を引き上げた…と言っていますが、引き上げたというのは現代レンズの方が鉛ガラスが使えない分、光学的に遥かに劣っているという事です。
また、Zマウントで復活したNoct Nikkor 58mm f/0.95はマニュアルフォーカス。その他の高級レンズも概ねマニュアルフォーカスに拘っています。つまりレンズのオートフォーカス化は画質の低下にしかならないという何よりの証拠です。
再掲載になりますが、筆者が以前に掲載した写真は「周辺減光が効いてる」などという意味不明な印象は持ちませんし、シャープネスは充分だと思っていますしフィルム写真のようではなくデジタルならではのクリアで透明感のある景色が写し撮れていると思っています。
オールドニッコールというだけでレンズは違いますがJPEG出しでも、これだけ解像していれば充分だと思ってます。
(Nikon Df + NIKKOR-S Auto 50mm F1.4)
専門店の記事で、このような嘘が書かれると、予備知識もなくネット情報を疑う事なく鵜呑みにする人などは、オールドレンズは周辺減光が効いてて(周辺減光はしてしまうもので、本当にこの記載は意味不明です)シャープネスが低く、フィルムっぽいと読み齧りの知識をインプットしてしまいます。
撮像の記録媒体の違いにどうして光の通り道でしかないレンズが関係してくるのか?少し考えたらおかしな事は判るはずなのですが、専門店の記事というソースは、ネットで知識を得る事がメインの方々には信じるに値する情報とされてしまいます。
安く大量に出回っているオールドレンズを持ち上げると、利益を生む現行レンズが売れなくなるからデマを流してるのでしょうか?
いずれにしても、何故このような嘘を専門店の記事が書くのか?は、謎です。
しかし、ネットは嘘や情報操作のためのデマに溢れています。
ネットだけでなくテレビも同じです。SNSなどで人気になったカメラマンと契約して、即テレビで取り上げさせ(金を積めばこれは簡単)、さも自社製のカメラを使って撮った作品が取り上げられているかのように視聴者に錯覚させるために、インタビューの間中ブランドロゴがテレビに写るように持たせたり…売るためなら恥も外聞もなくなんでもするというメーカーや、お金の為に魂売るプロカメラマンも存在しますので。
半年ほど時の人となる一発屋芸人だって、メディアの作り上げた存在です。売れてない勢いだけの芸人を広告代理店などと一緒に持ち上げ、売れない芸人価格の安いギャラで稼ぐだけ稼いで、ギャラが売れっ子価格になったら即座にポイ。一時でも売れっ子にしてやったんだからありがたいと思え!とばかりに切り捨てます。
政治の世界だけでなく、こんな情報操作が日常茶飯事で繰り返されている現代社会。
せめて好きな事だけは、惑わされずに真摯に向き合って精進していきたいものです。