【前編】では敢えてつまらない被写体を同じ画角で撮り比べるばかりで、撮っていても面白くもない写真が並んだので、少しだけ楽しみながら撮影することにします。
身の回りに植えられている植栽でVelvet56のソフトフォーカスを活かしてみます。
先ずは、大型の建築物の敷地によくある、プランターと一体になった移動式の間仕切りブロックに植えられていたサルビア・ファルナセアです。サルビアは図鑑のように撮れてしまう事が多く、個人的には難しいと感じる花です。
NikonDf × lensbaby Velvet56 1/640秒 f/1.6 ISO100 三脚使用 圧縮掲載
まるで霧の中で撮ったような幻想的なイメージです。霧吹きでも大袈裟に吹き掛けておけば「〇〇高原の朝」…みたいなタイトルをつけても誰にも疑われないでしょう。
NikonDf × lensbaby Velvet56 1/640秒 f/1.6 ISO100 三脚使用 圧縮掲載
花の背後には巨大な建物と屋根のあるパーキングがあるような場所ですが、ソフトフォーカスが巧みに誤魔化してくれています。
NikonDf × lensbaby Velvet56 1/4000秒 f/1.6 ISO100 三脚使用 圧縮掲載
幹線道路と、その傍の公園の仕切りの植栽で咲いていたヤエクチナシです。無理矢理f/1.6で撮っているのでちょっとやそっとのシャッタースピードでは画面全体が白トビしてしまいます。日中の撮影ですが夜明け刻の写真のようになりました。解放付近のVelvet56の描写は、あるがままに撮りたい人には不向きですが、意図的に雰囲気を創り上げたい人には面白い効果が得易いレンズと言えます。
ランタナは開店前のお蕎麦屋さんの店先のプランターです。
NikonDf × lensbaby Velvet56 1/640秒 f/1.6 ISO100 三脚使用 圧縮掲載
NikonDf × lensbaby Velvet56 1/400秒 f/4.0 ISO100 三脚使用 圧縮掲載
NikonDf × lensbaby Velvet56 1/40秒 f/16.0 ISO100 三脚使用 圧縮掲載
撮っていて思ったのは、絞っても破綻しないという特性です。主張の強い花ではありますが、濃淡のメリハリがついて個人的に「絞った方が良くね?」って感じになってきました。
NikonDf × lensbaby Velvet56 1/80秒 f/16.0 ISO100 三脚使用 圧縮掲載
そこでf/16.0のまま、シャッタースピードを上げてローキー風に撮ってみました。
なんだこれ?悪くないぞ!
筆者の好みもありますが、f/1.6のふわふわ描写より全然好きです。絞っても色味がしっかりしていてコントラストが効いたメリハリのある描写です。
比較の為に三脚固定してますが、スナップ的に撮影してみます。舞妃蓮の花名プレートあたりにピンを置いてます。
NikonDf × lensbaby Velvet56 1/4000秒 f/1.6 ISO100 三脚使用 圧縮掲載
舞妃蓮の文字は読み取れますが、少し引いた画角になると、完全に2時間ドラマで記憶喪失の被害者が、犯人を思い出す回想シーンのようなもやもや画像です。
NikonDf × lensbaby Velvet56 1/25秒 f/16.0 ISO100 三脚使用 圧縮掲載
手前にピンで無限遠ではありませんので背景の木がややボケになっています。こうなってくると絶景でのlensbabyの撮り比べがしたくなってきます。
鬼怒川に懸かる鬼怒楯岩大吊橋です。
1/1600秒 f/1.6 ISO400
1/1600秒 f/2.0 ISO400
1/1000秒 f/2.8 ISO400
1/500秒 f/4.0 ISO400
1/320秒 f/5.6 ISO400
1/160秒 f/8.0 ISO400
1/80秒 f/11.0 ISO400
1/30秒 f/16.0 ISO400
撮り比べてみないと判らない事もあるものです。マニュアルフォーカスレンズの無限遠であってもf/11.0まで近景や遠景がボケています。
最もくっきり写るのが絞り最大である事が判りました。「f/4.0以上はくっきり写る」とかのレベルではなく、非常に灰汁の強い特性を持っているといえます。つまり、lensbabyのVelvet56は他のレンズと同じように考えては根本的に駄目だという事が解ってきました。
1/100秒 f/16.0 ISO400
そういった特性を踏まえつつ、朝の鬼怒楯岩大吊橋の上から早朝の鬼怒川を撮影してみました。三脚に据えてますが盛大に揺れる橋からの撮影で少しブレています。このような場所では同じマニュアルフォーカスでも、やはり明るくシャッター速度が稼げるNIKKOR-S Auto 50mm F1.4のようなレンズが良い。
レンズは正に適材適所。その事を改めて思い起こさせてくれたlensbabyの試写となりました。