筆者が子供の頃に最初に憧れたのが、Smith & Wesson社のリボルバーであるM19 Combat Magnumでした。
©️Smith&Wesson公式HPより
画像は復刻モデルで幾つかマイナーチェンジされた箇所がありますが、今も販売している現代版M19になります。
ルパン三世の次元大介の銃…として長年、有名ですが、実は次元の銃はM27だという説が有力です。
M19は.38special弾のパワーアップバージョンである.357magnum弾が撃てる、小型で携帯性の高い銃として人気でした。
口径の大きな.44magnum弾は強烈な威力の弾丸でありながら、主にハンティングのお供に使われていて本国アメリカでも一般には殆ど知られていなかったそうです。銃とはセルフディフェンスの道具であり、暴漢を退散させられれば目的を達するので、猛獣を一撃で倒すような威力は求められていなかったのです。
それを一躍有名にしたのがダーティーハリーことハリー・キャラハン刑事のこの台詞です。
おっと!お前さんが、今なに考えているかわかるぜ…。俺が六発撃ったか、それともまだ五発かと考えてるんだろ?実のところ、こっちもつい夢中で数えるのを忘れちまったんだ…。幸い、これは44magnumっつって世界一強力な拳銃だ。お前の頭なんて一発で吹っ飛ぶぜ。楽にあの世までいけるんだ…運さえあればな…。どうする?なあ?
故 山田康雄さんに合わせて筆者が若干アレンジしてますが、この台詞でアメリカ中のガンショップからM29が品切れになったそうです。
実はこの時すでに.454カスール弾があったので、世界一ではなかったのですが、それは置いておきましょう。笑
つまりリボルバーは、より口径の小さなモノが一般向けで、その中でも威力がありながら低反動、低音量、そして価格もお手頃だったのが.357magnum弾を使用する銃だったのです。人気を二分したのが、このM19とColt社のPythonでした。
しかし、M19は小型軽量のKフレームという.38special弾のためのフレームなので、.357magnum弾を撃ち過ぎると歪みや暴発事故の原因になると発表され、以後Colt Pythonの一人勝ち状態になります。(2014年の復刻モデルから材質を変えてM19の.357magnum弾での耐久性問題は皆無になりました)
前述の次元大介のM27は.44magnum弾用のM29と同じNフレームを.38口径に流用したモデルで.357magnum弾と同時に発表された銃でした。「マグナムに拘るシューティングマスターの次元がM19を使う筈が無い」というのがルパン好き、ガンマニアの見解のようです。因みに筆者の好きなシーズン2には「荒野に散ったコンバット・マグナム」(EP99)という話があるのですが、それはディテールに拘らなかった時代の産物として葬られているようでした。笑
五右ェ門が次元の果たし合いを阻止すべく、果たし合いの相手と先に決闘して始末してしまおうとしたり、お節介と思えるほど仲間想いな描写があって好きなエピソードだったのですけど。笑
話は銃に戻しましょう。苦戦を強いられたM19ですが、70年代に.38special+Pという高威力な弾丸が発売されると、持ち前のスマートな見た目と携帯性で再び人気を取り戻したのだそうです。ステンレスモデルのM66なども大変な人気だったとか。
筆者が最初にM19を意識して見たのは、月刊Gun誌の永田市郎氏(当時)の写真でした。スマートなフレームバランスに黒光する光沢。神保町の古本屋で見たその雑誌の写真に釘付けになったのです。
ただし当時のモデルガンは子供だった筆者が見ても、高い金を出して買う価値の無いほど安っぽいディテールでした。日本のモデルガンはイチローナガタ氏が1980年頃から国際興業(廃業)のアドバイザーになったあたりから飛躍的にディテールが進歩しますが、それまでは子供騙しの蛇足パーツ過多、ディテール無視の完全なオモチャが多かったのです。
80年代初頭といえば空前のガンダムブーム。設定にない蛇足パーツとカラーリングだったクローバーの超合金ガンダムが売れず、バンダイのガンプラが大ブームになりました。それまでの玩具メーカーの「なんでもかんでもゴテゴテ付ければ喜ぶはずだ」という、子供騙しの安易な発想からの変換期だったのかもしれません。
今回、入手したコクサイのM19モデルはスーパーリアルポリフィニッシュという仕様のもの。写真では良い感じですが、実際はかなりプラスチッキーです。コクサイには当時、金属パーツを多用し、スーパーリアルフルメタルフィニッシュという実銃同様の塗装後、専用スタッフによるハンドメイド研磨をしていると宣伝していたモデルもあった筈なのですが(うろ覚え)これは普通の塗装です。
照明を当ててiPhoneで撮った写真だと、そこそこルックスが良い感じですが…
金属パーツであるエキストラクターロッド(エジェクターロッド)とじっくり見比べると、やはり樹脂っぽさが目立ちます。写真だとそこそこ金属っぽく写ってますが、質感は子供の頃に持っていた薬莢エアコッキング式のてるてる坊主のような弾丸(つづみ弾)のエアソフトガンと同じです。
そして最大の欠点はサムピース下にトレードマークの刻印がない事です。
これはもう、レーザー刻印を請け負ってくれる業者に頼むか、ジャンクパーツから移植するしかないかもです。
どうせ、このご時世でお出掛けが憚られるので、知恵を絞ってディテールのリファインをしていこうと思います。