先日、2月唯一のお出かけという形で、六本木ヒルズの東京シティービューで開催されている「楳図かずお大美術展」に行ってきました。
SFホラーの傑作「わたしは真悟」の続編にあたるような100枚近くにも及ぶストーリー図画の展示(撮影不可)があると聞いて駆け付けた次第。
このページ掲載の写真は全てNikonDf + AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VR
52階にある東京シティービューは展望デッキとしても見事な景観でした。めちゃくちゃ寒い日でガチな防寒着で出掛けたので、ガラス張りのサンルームのようで滝汗ではありましたが、好天に恵まれ富士山までハッキリと見えました。
穴あきレフ板を用いても広角がカバーできないのでガラスの反射を抑えるためにPLフィルターをがっつりかけてますから周辺減光があるのはやむなしです。
子供の頃から巨大だと刷り込みがある東京タワーを見下ろすこの感じは、少し不思議な感じがしました。
六本木ヒルズに行くと、ヒルズが建つ前の六本木を思い出します。現在の建築基準法では建て直しの効かない、敷地ギリギリに建った家がひしめいてる集落。道が狭く、車が通れないような路地に、トタン板が壁材のバラックまでが立ち並んでる…それが六本木六丁目界隈でした。
ふっ…と、思い出して麻布宮村町に行ってみました。
かつての六本木の雰囲気を未だに残す麻布の谷戸に作られた集落です。住所で言えば超高級住宅地である元麻布二丁目。超豪邸や豪華なマンションが立ち並ぶ中にひっそりと取り残された異空間のような地域です。
赤く囲った場所が麻布宮村町と呼ばれる一帯です。坂の街である麻布の谷底で、周りは一段高く整地されて高級住宅や超進学校になっているので重機の入れる場所が全く無く、六本木のような地上げに遭わずに今も昭和の街並みが残るノスタルジックな空間です。
こんな、身体を横にしないとすれ違う事もできないような路地を数十メートルあるくといきなり、その街並みは表れます。
ヒルズを背景にするトタン屋根の低い建物群の対比が趣きがあります。
ヒルズ周辺は、全く人間味がない未来都市のような印象を受けます。複雑怪奇な円形と曲線を多用した構造物群は、有機的に見えるどころか、直線のビル群よりもあざとく無機質さが際立って見えてしまいました。
麻布宮村町に来ると、正直ほっとします。人の生活の息吹が感じられる町、地に足の着いた無理のない街並みに安らぎと安心感を覚えます。
久々の繁華街が六本木で、一瞬、息が詰まりそうでしたが、この街並みに救われた思いがした休日でした。