独眼流正宗

独眼レフを操る 下手っぴ写真愛好家の場末の毒舌ブログです。「頭の中に漠然とある感覚や印象を、気分や感情に左右される事なく、言葉や文字に置き換える時に、それらは初めて明確な意思や思考になる。」そのための自己反芻のようなモノでもあるので、興味のない方はスルーして下さい。

とどのつまり…ハイエンドミラーレスを買ったら、果たして写真趣味は愉しくなるのか?という話。

筆者は自他共に認める「ゆるクラ△」です。登山はカメラを持って登らないなら意味がない…とすら思っているので、梯子、鎖場連続の、厳しい3000m峰などはとてもじゃないですが登れませんし、体力面も高尾山の一号路のような傾斜の強い舗装路などを登ったらすぐバテてしまうようなレベル。それでも山に登るのは好きです。

 

f:id:muramasachang:20211230161405j:image高尾山薬王院 NikonDf + AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VR with NiSi V7system

ピークハントをしなくても良いので高山植物が沢山咲いている所まで行ってみたい…とか、登ってみたい山が沢山あります。レベルは「ゆるクラ△」でも、山に挑む準備の過程から楽しんでいます。

 

何故、登山の話をしたかと言うと、最近のハイエンドミラーレスの進化を山登りに喩えると、筆者のような技術も経験も未熟な「ゆる系クライマー△」が、分不相応な難攻不落の山のピークにヘリコプターで降ろしてもらって、旗だけ立てて記念撮影しているような感じがしてしまうからです。

カメラが進化しすぎて勝手に動体を追いかけ回してくれる。動物も目にガチピンでフォーカスしてくれるので、財力さえあれば初心者でも買って直ぐに凄い野鳥の写真が撮れてしまう趣味になってしまいました。

筆者は写真を撮る事を愉しみたいと思っています。だからハイエンドミラーレスが欲しいか?と言われたら、少し微妙なのです。

まぁ見た目は「Z9かっけぇな!」と思ってたりしますけどね。笑

 

こんな写真が撮りたい…やってみたけど撮れない。じゃあ自分に足りない技術は何だ?最低限必要な機材は?そういった撮る事以外の知識も含めて研鑽を積んで、撮りたい1枚をモノにしていくのが愉しいのであって、撮りたいと思ったものがいきなり撮れてしまったら満足か?と言われたら、かなり違う気がするのです。

 

変な言い方ですが、筆者は多分、写真が好きなのでしょう。Instagramなどはフォロー返し目的の新規フォロワーとかガン無視なので、直ぐにフォロー解除されて全然フォロワーが増えませんし、相互フォローになっても良いと思わない写真にはいいねしないので、フォロー解除されたり。せっせとフォロー増やしていいねしまくって返礼のいいねを稼いで…なんていう人気投稿者への下地作りとかをする気もありませんから、せいぜい30いいねもされたら自分の投稿の中では多い方といった具合です。

そもそも、現代のニーズから筆者の写真はズレていると思ってます。流行りの撮像感潰れまくりで、パースだけが遠近感。塗り絵の下絵のような、ISO上げまくりで「見えない暗闇もシャドウとコントラストでベタッと均一」にした平面的な夜の街の写真を、更にレタッチで青み増しにして…みたいな写真を少しも良いと思わないのですから仕方ありません。

f:id:muramasachang:20211230160702j:image

筆者にとっての夜景写真はやはりこっちなのです。ただ、見たままを撮る事の方が遥かに難易度が高いと思うのですが、見たままであるが故に目新しさが無いのでしょう。人間の目は遠近感も立体感もわかるので、リアルに撮っても評価されず、撮像感が潰れまくって平面的になった写真の方が「見たことのない景色」として持て囃されるのだと思ってます。

 

SNSを、そういう使い方をする人の全てを「写真が好きじゃない」とは言いませんが、承認欲求を満たす事の方が大切で、フィルム時代と違って写真が簡単になったので飛びついたような人は少なくないと思います。

楽器の演奏や、ダンスやスポーツなどの動画投稿より、遥かに写真趣味は鍛錬が少なくて済みます。デジタルになった写真は鍛錬なんて言葉は必要がないくらい簡単と言っても良いかと思います。まぁ楽器演奏動画でも、チラチラと上目遣いでカメラ目線を送る事を優先して、大した演奏をしてない女性の動画もそれなりに見かけますが…。

 

アイコン顔出しの女性で、初心者の時点からヨイショいいねリツイートが大量。カメラ歴半年で個展だの言い出して、1年もせずに依頼がどうたらのプロ気取りの人も見かけます。SNSって素人が素人を評価する場所な上に、評価でなくヨイショだったり、直に知り合いになる為の応援だったり、邪な目的に使われる事が多々あります。

どんどん「自分の思う良い写真」が時代から取り残されているのに、撮る楽しみすらなくなってしまったら、一体なにを愉しみに写真を撮れば良いのでしょう?

 

車で言えば「目的地に着く」事のみが優先であるなら、自動運転の時代になったら便利かもしれませんが、運転を楽しみたい車が趣味という人は自動運転なんて使うでしょうか?そういう人にとっては、今の車の電子制御で勝手にコントロールしようとする介入ですら不快だったりします。

 

時代の流れは、もう止める事はできません。たとえ細々とでも、楽しい事を愉しめる形で続けていきたい。ハイエンドミラーレスは筆者にとって愉しめるカメラなのか?これは甚だ疑問であると言わざるを得ないのです。