いよいよ、橋をコントロールする詰め所から橋脚の内部に潜入です!
勝鬨橋は重要文化財ですから、それを満喫できる時間はとても貴重です。
余談ですが昭和に完成した建造物が重要文化財になる事は非常に稀だそうです。跳ね上げ式の可動橋という土木遺産としての特殊性から、昭和4年に架橋された勝鬨橋も重要文化財に指定を受けたのだとか。
鉄柵で入らないようにされている詰め所がある出っ張りの内部へ。この詰め所は橋の開閉を操作するコントロールルームで、川に向かって船用の信号機が設置されています。横の階段を登って中に入ります。
出っ張り部分からは普段とは少し違う角度で橋が見えます。橋の下を丁度、水上バスが通ったので記念に一枚。
素晴らしくアナログでカッコいい制御システム心臓部!橋が今どんな角度か連動して、視覚的に解るような角度計が着いています。誤作動防止のために全てのスイッチは引っ張ってオンになるように設計されているのだとか。
薄暗いので、このくらい明るく撮ってやっと見えるくらい煤けてますが、操作パネルの上の箱が角度計。ただの目盛りでなく、重りのついた橋桁の形がそのまま針になっていて分かり易いだけでなく、機能的なセンスを感じます。針そのものを橋桁の形を模したら間違えようがない…という事だと思いますが、昔の機械にはこのような特注の部品がふんだんに使われていてモノ造りへの拘りと美学を感じてしまいます。
3メートル弱の梯子を降りて、いよいよ橋脚内部へ!
銀色に塗られているのが橋の可動部です。剥き出しの配線が唆ります。
橋の可動部とピニオンギア。重さ1000トンの橋脚を少ないパワーで動かすために、1000トンのバラスト(錘)をつけて微妙なバランスを保っているとのこと。
一見広いスペースですが、橋桁が上がる際のバラストのスペースなので、写真右側の壁ギリギリまで錘が迫ってきます。万が一に備えてダンパーが並んでいます。
モーターとブレーキ部。台所の跳ね上げ式の棚のようにバラストでバランスを取ってるのでパワーそのものより、それを止めるブレーキの方がテクノロジー的には大変なのだとか。
橋のヒンジ部。写真だと華奢に見えますが、結構な大きさです。極力、人払いして撮る…が見学マナーなので人と対比できないので大きさが分かりにくいかもですが。
落下防止の金網が細かいのでiPhone撮りですが、昔は可動部だったので柵もない吹きっさらしだった橋脚先端部から見た光景です。
その他、あまりに汚くて撮ってないですが、北側のヒンジのスペースに無造作に男性用小便器が設置されていました。
勝どき橋の可動は…実際には様々な事由で、ほぼ不可能だとの事。仮に動かすとしたら、事前の点検補修に莫大なメンテナンス費用がかかってしまうので、観光目的などで可能な範囲の話ではないそうです。
花火大会やマラソンなどで交通規制がかかる時に跳ね上げれば、さぞ注目されるだろうに…と思ってましたが、実際には様々なハードルが複雑に積み重なって実現困難であると。
そうは言われても、やはり一度は跳ね上がった勝どき橋を見てみたい…そう思わずにはいられません。
※勝鬨橋と勝どき橋、同じモノではありますが、現在は読みやすくひらがなが使われる事が多いようです。当ブログでは、重要文化財の登録名が勝鬨橋なので、重要文化財としての話題の時のみ漢字表記で執筆しています。