梅雨の晴れ間を突いて「埴沙萠チャレンジ」を敢行して参りました。場所は紫陽花のメッカ、高幡不動尊。(最近は曼珠沙華も売り込み中のようですが…)
誤解の無いよう書いておきますが「埴沙萠チャレンジ」とは、埴沙萠さんのような写真を撮るチャレンジではなく、埴沙萠さんのように「身近な被写体にも手間暇惜しまず向き合う事」です。
前回、準備したモノで書き忘れがありました。
この時期、虫除けスプレーと痒み止めは必需品です。人一倍、蚊に好まれる筆者。生態系の妨げにならないのなら白黒の縞模様のアイツをこの世から撲滅して欲しいとすら思っています。痒くさえならなきゃ微量の血など、分け与えてやるのは吝かでは無いのですが…。
この時期、高幡不動で先ず撮影したいのは八重咲きのドクダミです。紫陽花に人が群がるため気兼ねなく三脚とマクロで撮影できます。写真は同条件にするために全てNikon Df で撮影。JPEG出しで圧縮しています。
Micro-NIKKOR-P Auto 55mm F3.5 1/320秒 f/8.0 ISO400 レフ板照射
Nikon Df はワイヤー式のリモートレリーズが使えるので三脚で画角を決めてピントを合わせ、セルフでレフ板を当てながら撮影しました。
フィルム時代にクロームプリントが流行った頃に憧れていた雰囲気です。笑
かつては露出を知り尽くしたプロか、マグレでしかモノに出来なかった写真も、撮れ高がその都度確認出来るデジタル時代だと、花撮影3年生でも撮れてしまいます。
つまり花の撮影は、三脚に据えて同条件で様々な露出やライティングを試しさえすればモノに出来る部分も多分にある…と、いう事です。
勿論、構図のセンスなどはどうにもなりませんが、技術的な部分は手間暇惜しまなければ、ある程度は埋める事が可能と言えます。
Micro-NIKKOR-P Auto 55mm F3.5 1/1600秒 f/3.5 ISO400 レフ板照射
こちらはかなり陽射しの強い場所で撮影しました。普通に撮ると画面全体が明るく散漫になるので、レフ板で花だけを照らし、シャッター速度を上げてコントラストを活かした絵作りをしてみました。
Micro-NIKKOR-P Auto 55mm F3.5+接写リング 1/320秒 f/3.5 ISO400 レフ板照射
Micro-NIKKOR-P Auto 55mm F3.5 1/250秒 f/3.5 ISO400 レフ板照射
やや日陰にある花達もレフ板の柔らかい光を当てると、カメラの露出だけで色調を調整するより遥かに柔らかく、実際の色味に近くなりました。
次は望遠レンズの圧縮効果や、近付けない花を撮る為に持って行ったSIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSMです。
SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 170mm 1/500秒 f/6.3 ISO400
今回、残念ながら群生している場所には常に多くの人が群がっていて殆ど撮る事ができませんでした。唯一、マニュアル設定で撮影準備だけしておいて、一瞬の人払いが出来た瞬間に撮れた写真です。なので、今ひとつ追い込めていませんが望遠レンズの圧縮効果は充分に発揮されていると思います。
SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 155mm 1/500秒 f/6.3 ISO400
茂みの中に唯一、木漏れ日が当たっていた花を狙ってみました。三脚に固定されているのでシャッター速度を微妙に調整しながら撮影し、狙い通りの見たままの絵作りが出来ました。
SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 480mm 1/500秒 f/6.3 ISO400
SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 600mm 1/640秒 f/6.3 ISO400
SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 280mm 1/250秒 f/5.6 ISO400
SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 600mm 1/640秒 f/6.3 ISO400
望遠レンズは、容易に近づけない場所の花を手繰り寄せる事ができる便利なツールです。最近は、素早く動き回る野鳥を手持ちで追い回していたせいか、すっかり忘れてしまっていましたが、三脚に据えてじっくりと絵を作り込む事で、超望遠ならではのボケや圧縮効果も更に楽しめる事を再確認しました。
三脚に据える事で、画角の隅々までじっくりと絵作り出来る事。そして同じ画角で様々な露出を試せる事で、狙い通りの雰囲気を写し撮ることができます。
最後に…
今回の「埴沙萠チャレンジ」は7割方成功です。決して良い写真が撮れたわけではありませんが、手間暇を惜しまずに被写体に向き合う事の大切さを、改めて実感できたのは収穫でした。
ビジネス用語になりますが、PDCAサイクルという言葉があります。Plan・Do・Check・Actionを反復して、精度を突き詰めていく作業の事です。
デジタル化された写真の世界においても、フィルム時代には叶わなかったこの反復サイクルが可能になりました。
基本に立ち返り、被写体にじっくりと向き合い、トライ&エラーを繰り返す。この積み重ねこそが、人を感動させる瞬間を切り撮れる「達人」への、遥かなる長き道のりの第一歩なのだと痛感した次第です。
精進あるのみ!ですね。
余談ですが、晴天だったので色画用紙の出番はありませんでした。