Nikon Df が発売されたのは2013年の11月…今年で発売10年目を迎えました。デジタル家電となったカメラとしては10年前は大昔の扱いですが、その画素数抑え気味のセンサーと画像エンジンのバランスで、筆者にとっては未だに魅力のあるカメラです。
1625万画素と言うと、現在ではかなりスペック的に見劣りします。しかし、イメージセンサの画素数は言わばザルの目。センサー面積が同じであれば、画素数が大きいほど目は細かくなりますが、透過率は下がります。ここで言う透過率とはセンサーの受光量。闇雲に画素数だけを上げてもバランスが悪くなったり階調が細か過ぎて画面が煩くなったりの弊害もあります。
Nikon Df は、その元となった当時のフラッグシップD4と同等の画質性能を有した静止画専用機。未だに中古市場で人気のD4シリーズが如何にバランスが良いカメラであったかという事に尽きると思います。
カメラとしての絶対性能…AFや連写に関して言えば、後の D5、レフ機として至高の位置にあるD6、ミラーレスのZシリーズなどが遥かに勝りますが、 D4や Df で撮れる写真のバランスは決して古臭さを感じさせません。風景や静物、植物など、あまり動きの無い被写体の撮影なら、最新鋭機と比較しても何ら見劣りしません。
カメラ屋さんやWEB雑誌の記事などで紹介される最新鋭機で撮った作例と比べても、大した遜色がない。基本的に、あの手の記事は「取り敢えず、最速でレビューをする事を目的とした穴埋めにでっち上げられた作例」が多く、「本当にコレが作例で良いの?」と言いたくなるような写真が堂々と掲載されてたりもするので一概に機材の差が無いては言えませんが。
NikonDf + AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VR
以前も掲載した写真ですが、最新のZ9の実写レビューなどでも見かける場所での写真です。記事のためにパパッと撮られた写真なのかもしれませんが、仕上がりを比較して、明るさなどの表現の差はあっても写真としては遜色ないと筆者は感じました。
Df は、その懐古趣味的な見た目のエンスー度だけでなく、撮れる写真がまだまだ全然現役でいけるクオリティを有しているので、中古相場も15万円前後を未だに推移しています。
ネットの世界では機材マウントの人が蔓延ってます。そんな凄い機材買ったならネットで日々蘊蓄を語ってないで寸暇を惜しんで撮影に行けば良いのに…と、思うのですが、何故かカメラの事を語るのが好きな人達が意外に沢山います。その手の人には「デジタルカメラは家電なので10年前のカメラはゴミ」が常套句。
デジタル過渡期の2000年頃の話ならいざ知らず、2010年以降に発売されたカメラでは、そこまで差は無いと筆者は思っていますが、最新鋭こそ正義の人達には、スペックだけで「まともな写真が撮れない」とネット上で断言されていたりします。
ですが、本当にそうでしょうか?最新鋭を追い求めてコロコロ機材を替えるより、自分の機材の有利な点や弱点を熟知して撮影する方が、結果が伴うのではないか?と、筆者は考えます。
Nikon Df はオート撮影を殆ど使わない筆者にとっては、とても使いやすいカメラです。予めカチカチと数値を決めてから撮れば、ファインダーを覗いて大量に表示される数値に惑わされる事もなく、被写体に自然に向き合う事ができます。
センサー受光量のもたらすダイナミックレンジの広さも、このカメラの武器。JPEG出しに拘っている筆者にはとても扱い易いカメラです。際限なく、と言って良いほど弄り回す事が可能なRAW現像と違って、JPEG出し後のレタッチは補正の域を出ると途端にノイジーになります。
その程度の飽くまで補正の程度で良いくらいJPEG出しの段階で纏まってくれているのは、ダイナミックレンジの広さと階調の豊かさによるモノだと思っています。過去の記事と写真が被ってますが、ダイナミックレンジの広さが伝わり易い、陰影のある写真を何点か…。
間も無く、保証対象外になるカメラですが、NikonDf があって本当に良かった。
シャッター幕の交換は一昨年したので、しばらくは使える筈です。壊れるまでこのカメラと様々なモノを写しとっていこうと思っています。