Z8はZ9同様、メカシャッターレスのカメラです。
ミラーレスとは言え、普通はシャッター幕があるものです。高速で動く被写体を撮ってもシャッター幕さえあれば、画像の歪みはかなり抑えられるのですが、電子シャッターは「ローリングシャッター歪み」という宿命があります。
現行のCMOSセンサーでは、フレームの上端と下端でタイムラグが生じるので斜めにひしゃげて写ってしまう…これがローリングシャッター歪みです。
これまで撮っていて、不満は全くありませんが、実際どの程度歪んでいるのか?はとても気になっていました。たまたま扇風機があったので、これ幸いと言った感じで検証してみたいと思います。
先ずは静止状態で撮影します。使用レンズはFTZⅡを介して、AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VRを使っています。
ISO 125 62mm 0ev f4 1/15s
同じ位置から羽を、強、中、弱の強にしてISO感度を爆上げして撮影してみます。
ISO 20000 62mm 0ev f4 1/4000s
ISO 20000 62mm 0ev f4 1/4000s
連写してみましたが、ローリングシャッターによる歪みはゼロとは言いませんが、殆ど感じないほど優秀です。
流石にISO感度20000はノイジーですが、羽に施されてるディンプルまでしっかりと写し込んでいて、Z9が2021年10月に発表された事を考えると驚くべき高性能さです。
これはレンズ交換式アドバンスカメラとして売られていたNikon1シリーズで培っていた技術の応用なのでしょう。Nikon自体、2014年発売のV3の時点で電子シャッター使用で60コマ/秒を実現していたので、ミラーレスが全く遅れをとっていた訳ではないのです。ただ1インチセンサーのNikon1ではなく、4571万画素機でこの超高速読み込み、書き出し速度を実現してるところがZ9、Z8の凄いところでもあります。
小型の扇風機を用いての検証画像は散見しますが、羽にディンプルがある扇風機で試した事で、筆者の中でZ8の電子シャッターに対する信頼度が確実に上がりました。
グローバルシャッターがかなりノイジーで、マイクロフォーサーズのユーザーからも、画質的にマイクロフォーサーズのようだと評する人もいるような、やや時期尚早な感もあるので、Z8のローリングシャッターが実用に不安がないことを自分の検証で確かめられた事は、筆者にとってこの上ない朗報でした。