独眼流正宗

独眼レフを操る 下手っぴ写真愛好家の場末の毒舌ブログです。「頭の中に漠然とある感覚や印象を、気分や感情に左右される事なく、言葉や文字に置き換える時に、それらは初めて明確な意思や思考になる。」そのための自己反芻のようなモノでもあるので、興味のない方はスルーして下さい。

オールドニッコールの確かな設計がミラーレスでも活かされる!

久々に猛毒ブログです。出版物のタイトルは控えますが、Z9発売ほどなくして筆者が購入したムックには、オールドレンズ作例として滲みまくりで色褪せしまくりのクズみたいな写真が載っていました。「嗚呼、我がお気に入りのオールドレンズ達も、遂に高画素化の煽りを受けて戦力外なのか…」と、寂しい気持ちで本を眺めていました。そして、その事がミラーレスへの変換を大いに躊躇していた部分でもあります。

 

f:id:muramasachang:20240303152557j:imageNikonZ8+FTZⅡ+NIKKOR-S Auto50mmF1.4 ISO64 1/60s

薄暗い宿泊施設の廊下。なんの気なしにNIKKOR-S Auto50mmF1.4で撮影してみたのですが、ムックに載っていた写真とは別物の写りに驚きました。左の一番手前の壁に樽型の歪曲収差が見られますが、他は概ね良好、発色も非常にナチュラルです。暗部も潰れずしっかりと粘っています。

あれ?筆者がムックで見たこの写真はなんだったのだろう?と首を傾げました。色もおかしければ、ピント面もぐずぐず…空の色なんてブルーグレーで、酷い青空の色だったんです。

 

f:id:muramasachang:20240304090230j:imageレンズの違いはありますが、2970円もするムックなのでAmazonの口コミと同じレベルではっきり書きます寄稿依頼されるプロとしてあるまじきレベルで撮影技術が無いか、Zレンズを買わせるためにオールドが使い物にならないかのような忖度した記事をでっち上げたかの何方かだと思ってます。

オールドレンズだと不得手なシチュエーションの作例だけでなく、特性が活きる作例をきちんと載せなくてはアンフェアです。事実、他の写真家の方が同じムック内で、お気に入りと称するAF-S NIKKOR ED 300mm f/2.8Dで撮った作例は見開きの写真になるような素晴らしい写真でした。

いずれにせよ、このページを担当したライターの記事は一生信用しない事にします。

そしてオールドレンズがレンズ資産として普通に使えるなら、もう少し早いタイミングでミラーレスにしていたという事も明言しておきたいと思います。

 

 

f:id:muramasachang:20240227055129j:imageNikonZ8+FTZⅡ+NIKKOR-S Auto50mmF1.4  ISO1600  2.0s

このノイズ乗りまくりの写真は営業時間が終わった某病院のロビー。実際は真っ暗になっている場所で、構造物にカメラを置いてパンフォーカスで通りすがりに撮影したもの。

タイルカーペットから天井までの水平が若干湾曲してる程度で、垂直のラインは綺麗に並んでいます。画面左端の椅子の足が前側も少しだけハの字で開いている事が、歪みがない写真なのではっきりと見て取れます。

 

どんなに電子補正が良くても、元のレンズのクオリティが低くてはどうにもならないのが、この手の撮影。凝った撮影でなく正味10秒にも満たない撮影でこの写真が出てくるのは、正直驚き以外の何ものでもありません。

確かに、逆光耐性などは現代のレンズとはコーティングの次元が違うので、全く比較にならないほど低いかもしれませんが、オールドレンズが元々持っていた描写ポテンシャルの高さが、カメラ側の補正で更に活きている感じです。

元々、1950年代後半から60年代に設計、製造されたレンズは高級宝飾品と同じような扱いで、陳列ケースに並べて売られていた物。当時の日本のものづくりの粋を集めて作られた逸品だったのですから。

マニュアルフォーカス時の撮影のためのアップデートも施してくれるのですから、使わない手はありません。電子接点が無かろうと、モーターが内蔵されてなくてAFが使えなかろうと、FTZを介してZシリーズに着けられないFマウントレンズはないのです。描写が好きなら古いレンズもガンガン使うべき!わざわざ買い足してまで…とは思いませんが、手持ちのオールドレンズ は立派なレンズ資産ですよ!