600mmと聞くと、野鳥や航空ショーなどを撮る人が使うレンズと考えがちです。野鳥は場所が限られますし、航空ショーは近場に限れば年数回。そんな被写体のためには中々手が出ないという方もいるのではないかと思います。
しかし60mmという標準域からカバーしているこのレンズは非常に便利な使い道があるのです。
そう、それは動物園です!
動物園というのは広角の出番は殆どありません。正直なところ、園の雰囲気を撮るためだけに広角域のレンズに付け替えるのは手間で、スナップ的な写真なら、最近の「風景に限れば高画質に撮れるスマホのカメラ」で撮ってしまった方が楽だからです。
家族のスナップ以外では標準レンズも殆ど出番はありません。
筆者も念のためNIKKORの24-120mmも持って行きましたが、出番は最後までありませんでした。
近くまで寄れるような動物は60mm付近で、柵と堀の向こうにいるような動物はズームを駆使すれば身体全体からクローズアップまで思いのまま。SIGMAの60-600mmのみで入園から退園まで撮りきれてしまいます。
(このページの画像は全てJPEG出し。Nikon Df にSIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSMを装填して撮ったものです)
全域でしっかりと解像しているので、思いのままの絵を切り取る事が出来ます。頭でっかちな知識先行で「F2.8通しのズームレンズこそが高性能」と思われている昨今、F4.5-6.3 は暗いと思われる風潮ですが、晴天の屋外だとシャッター速度を上げないとこれでも白飛びします。
当たり前の事ですが、動きを捉えるために動物園などでは絞り優先より、シャッター優先やマニュアルで撮る事の方が多くなります。こんな時はつくづくDf のメカニカルな操作性のありがたみを感じます。
AFも良好です。フェンス越しの撮影でもストレスなく動物達の速い動きをしっかりフォーカスしてくれます。手ぶれ補正も効きが良く、終始手持ちでの撮影にも全く不安はありません。
トリミングしても、しっかり解像しているので破綻がありません。巷では解像力一点突破などと言われている最近のSIGMAですが、その評価に全く異論はありません。10倍の望遠域を持つ超望遠レンズである事がちょっと信じられない程です。
色味もあっさりしていて、とても使いやすいと感じます。なんでもかんでも現実離れした色とHDR過多にレタッチするような人には物足りなく感じるかもしれませんが、Lightroomなどで実際の色味に近づけるためにレタッチするような人には使いやすいレンズと言えそうです。
柵の遠くに固まっていて、600mmでやっと狙えたフラミンゴもしっかり描写してくれています。
コンクリートの人工の構造物が嫌なので、マニュアルでシャッター速度を上げて暗めの写真にして背景を潰してみました。600mmでも階調が穏やかで雰囲気の良い写真に仕上がりました。
105mm、そしてワイド端である60mmでスナップ的に風景を切り取ってみましたが充分に実用範囲です。
防塵防滴のsportsラインなので、小雨混じりや風が強いシチュエーションなどでは、このワイド端60mmは強力な武器になり得ます。悪天候下で、こまめにレンズを変える必要が無いという恩恵は計り知れません。
ファーストインプレッションで「半日手持ちは考えたくない」と書きましたが、動物園のような、矢継早に被写体に巡り会えるシチュエーションだと、SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSMのダンベルのような重さは全く気になりません。
重いことには違いはありませんが、それ以上にこのレンズが齎す楽しみや高揚感の方が遥かに高いと感じます。
鉄道、空港、航空ショー、サーキット、動物園、水族館などは必ず被写体に遭遇出来る撮影スポットです。そして、同時に様々な画角が必要になってくる撮影シチュエーションの宝庫でもあります。
SIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSMは本当に便利な武器です。
一番のネックとも言える重さですが、被写体が常にファインダーに捉えられていれば、重さは全く気になりません。
様々な事を考えて、導入を先延ばしにしている方がいるとしたら、とても勿体ない。
確実に貴方の撮影モチベーションを引き上げてくれるカンフル剤、それがSIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSMです。